接客
接客は「お客様」と「お店の代表者」との「コミュニケーション」です。心地良い「おもてなし」 をする気持ちで接します。
日本の接客とサービスは世界トップレベルです。外国では王侯貴族の執事や一流ホテルのスタッフなどごく一部を除き、日常生活で優れたサービス、しかも無料のものはまずありません。
ほとんどは手際が悪く、態度も悪い。たとえ間違っても、日本のように「申し訳ございません」「大変失礼いたしました」なんて言葉はまずかえってきません。
日本も国際化の流れでレベルダウンしそうですが、折角の長所ですから継承し、お客様と気持ちよい時間を共有しましょう。
接客の心構え
●明るく、爽やかに、優しく。
「売る」でなく、「お手伝い」「お役に立つ」「コミュニケーション」「良い時間の共有」を心がける。
笑顔と態度、言葉で安心感をたっぷり与え、信頼関係を構築する。
その日の売上より、リピーター作りを心がける。
無理強いしない。ウソをつかない。
聞き上手になる。
商品を好きになる。商品をいつも大切に扱う。商品を理解する。
語彙(ボギャブラリー)と、話題を増やす(商品知識、ファッション、スポーツ、旅行、食べ物、店、趣味、地域、天候等)
基本とレベルアップ
店のコンセプトに合わせた接客方法を決め、「全員で100%実行」を目指す。
コスト、人材、商品、客層とバランスさせる。
《基本レベル》 繁盛店の絶対条件。「不快なこと」を一切排除。
売場の清潔感維持、整理整頓。
自然な笑顔、接客の基本用語、爽やかなあいさつ。
常識的な会話。
基本的な商品知識。新製品情報。
キビキビ、テキパキ、ハキハキ、ニコニコ。
アドバイス、詳しい商品知識、クレームは店長がフォロー。
会員割引等決まったサービスの完全実行。
新人の研修。面接と入店時トレーニングをしっかり。
先輩や店長も手抜きせずに、完全履行。
《ステップアップ》 全てに一流を目指し、全スタッフが日々高めあう
●一人一人に合わせた接客
会話のスピード、間。高齢者にはゆっくり。
お客様のことをしっかり聞いてアドバイス。好み、使い方、仕事、予算(余裕)。会員データの把握。
しゃべりすぎず言葉のキャッチボールをする
自分の知識、経験を総動員
トレンド情報のタイミング、用語
商品知識の内容
●レジで再度接客
商品の満足度を増す
サービスを丁寧に説明する
雑談して、コミュニケーションを増やす
●役割分担も
経験豊富なミセスパートの活用
服装による店長、副店長、説明スタッフの差別化
コンシェルジュの設置
時代にあったコンシェルジュ
通常の商品推奨型の接客をせずに、お客様のどんな質問にも応えるのが業務という「コンシェルジュ」を置くお店が増加中
お客様の求めている「必要な時に、的確な答とアドバイスをしてくれるお店の人」に合わせたもの。通常の接客もこの方向に近づいていく。
●本来のコンシェルジュ
Concierge はフランス語で、もともとは修道院で来訪者の鍵を預かる人のこと。
転じて、ホテルの接客係の意味になり、観光&ショッピング、スポーツ&観劇、レストラン、病院、宗教、おみやげの相談など幅広くホテルの宿泊客のニーズに応える係。
西武(通常のコンシェルジュ以外にファッションアテンドサービス)
スタイリストがお客様の個性に合わせたファッションをアドバイスしながら、一緒に店内を廻ってお品選びをサポート
伊勢丹(ボーテ・コンシェルジュ)
化粧品売場で複数のブランドを組み合わせて使いたいお客様に対応
JR東日本(ステーションコンシェルジュ)
東京駅に女性2人が常駐。
高級スーパー、ビッグカメラ、横浜中華街
求められるアドバイザー。
●販売員について(首都圏の消費者アンケートから)
販売員に声を掛けてほしいですか。 NO 92% YES 8%
販売員はどんな存在でいて欲しいですか。 アドバイザー 61% 友達 5% 特別無い 3%
販売員は必要ですか。 YES 90% NO 10%
嫌な販売員に会ったことがありますか。 YES 78% NO 22%
●接客で、良かったこと(別の買い物アンケートから)
丁寧に説明してくれた。
別な店も教えてくれた。
実体験を話してくれた。
軽めの敬語で感じが良かった。
あいさつが心地良かった。
用途、機能、予算、長所と短所、親切に誠実に教えてくれた。
●接客で、不快だったこと
ぴったりつかれる。すぐ口を出してくる。うるさい。しつこい。
ずっと大声を出されて、落ち着かない。
いきなりタメ口。なれなれしすぎる。
手にとっても、目があっても、来てくれない。
話す時に顔をみない。
商品のことをわかっていない。
話をははぐらされた。
途中でタメイキをつかれた。
販売員同士の過度のおしゃべりや私語。
すぐそばで上の人に大きな声で怒られていた。
買わないと分かったら態度を変えた。
何でも「カワイイ」と言う。どれを試して「似合いますよ」と言う。
違う商品を出されたのに謝らない。
人によって、態度も知識もバラバラ
外見で判断し、接客態度を変える。
入った瞬間、誰もこちらを見ていないのに、あちこちから「いらっしゃいませ」
子供のコーナーで「良かったらお試しください」と言われた。
聞いていないのにウンチクを長々語られた。
領収書を書くのに5分もかかった。
男性コーナーでギフトを探していたら、近くに2人いるのにアプローチしてこない。
親と一緒にいったら何でオバサンが入ってくるんだみたいな視線でジロッと見られた。
身だしなみ
誰にも好印象を与えるのは清潔感。お店の決まりに沿った服装をし、清潔感のある身だしなみを心掛ける。
清潔感と時代性を両立させる。
私服の場合はなるべくお店と担当商品の雰囲気に合わせる。若い人は積極的に流行取り入れをする。
一般的にはシャツやパンツ、スカートはプレスを効かせ、ネクタイやネームプレートは角度を整え、髪や爪は手入れをする。
靴は磨き、ストッキングやソックスはねじれないように気を付ける。
決まり以外は店のコンセプトに沿って店長判断。なるべく文章化しておく。
(金髪、長髪、スキンヘッド、モヒカン、ヒゲ、ピアス、アクセサリー、Tシャツ、穴あき、ヘソ出し等)
口臭や体臭も対策する。
姿勢、表情、笑顔、挨拶
開店前、背筋をピンと伸ばし、さわやかな笑顔を浮かべ、心の準備をする。
笑顔の少ない、出来ない人は、仕事として練習する。
店のイメージを高める挨拶をする。
挨拶や話す時は、胸から上の辺りをおだやかに見るようにし、接客時は適時、相手の目を見て確認する。
相手の目を見つづけると圧迫感を与えるので注意。
外国のお客様には基本的に目を見て話す。
丁寧なお辞儀
お客さまに正対し、両手を前に揃え、目を1度見て挨拶し、ゆっくりと腰から上半身を傾け、一呼吸してから、顔を上げる。
言葉使い
早口にならず、語尾までしっかりしゃべる。
●接客の基本用語
いらっしゃいませ。
ご自由にご覧下さいませ。
よろしかったら(ご試着、お試し、お履き)下さい。
少々お待ちくださいませ。
お待たせいたしました。
申し訳ございません。
こちらでよろしいですか。
お決まりですか。
かしこまりました。
ありがとうございます。
ありがとうございました。
またどうぞお越しくださいませ。
●マイナスを先に、プラスを後で言うのが原則。
× とても丈夫ですが、少しお高くなります。
○ 少しお高くなりますが、とても丈夫です。
●否定的な表現を避け、肯定的な表現をする。
× ピンクはありません。
○ 今、ネイビーだけになっております。
●相手には尊敬語、自分や店側は謙譲語を使い、丁寧語は常識の範囲で使う。
× 後で電話します。
○ 後ほど、お電話いたします。
× 店長の田中さんは今いないので、後で言っておきます。
○ 店長の丹間かは只今不在ですので、戻りましたら使えておきます。
× こっちの方が合っていますよ。
○ こちらの方がよろしいと存じます。
× 知りません。
○ 存じません。
× ありません。
○ ございません。
× 安いです。
○ お買い得です。
待機、アプローチ
「売る」という気持ちが強いと警戒されて、うまくいかず、お互いが心地よくない。
お店の代表として、専門家として、「買物のお手伝い」をする。「おもてなし」をする。「良い時間を共有」する。
●待機。お客様が入りやすく、見やすい雰囲気を作
《お客様の心理状態》
・ふーん。こういう店なんだ。
・販売員が寄ってきたらやだな。
なるべく作業しながら待機し、お客さまの入店に注意している(ほおっておくのではなく、見守る)。
商品個々の特徴確認、商品整理やディスプレイの手直し、在庫チェック、レジ周辺の整理、掃除、ショーカードやプライスタグの点検作成、DMの宛名書き、事務処理。
立って待機する時は入店を阻害しない場所で、背筋を伸ばして立つ。
×腕組み、仁王たち、通路の中央にいる、外をじっと見る、私語を続ける、後ろから突然声をかける。
入店され、近くにきたら、明るく爽やかな挨拶「いらっしゃいませ」「ごゆっくりご覧ください」などの声をかけ、
後は作業をしながら、お客さまの様子をうかがう。何か聞きたそうにしたら、すぐいけるよう待機している。
接客がすぐ必要そうな方はすぐにアプローチする。
高齢のお客様、異性のお客様、キョロキョロと何か探しているお客様、スタッフを探すお客様、常連のお客様。
服装、年令、様子、立ち止まる場所、視線、手にとる商品など観察し、アプローチのタイミングと言葉を考える。
買わずに帰るお客様にも「ありがとうございました」「またどうぞお越しくださいませ」など店のイメージを高める感じの良い挨拶をする。
●アプローチ
《お客様の心理状態》
・あっ何だろう。
・あっかわいい。
・そういえば友達の結婚式があるんだ。
・販売員が寄ってきたらやだな。
・もう少しほおっておいてくれないかな。
・同じようなのあったかな。
・いくらだろう。
・この前買ったものと合うかな。
・自分に合うかな。
・試してみようかな。
タイミングを見計らって、お客様の側面からアプローチする。
笑顔で軽く会釈をしながら、明るく爽やかに
「いらっしゃいませ」、「よろしかったらおためしくださいませ」
「少し懐かしい感じの素材で、入ったばかりなんですよ」
けげんな顔をされたら、「どうぞゆっくりご覧くださいませ」と、自然に立ち去り、離れて様子を見る。
買う気の無いお客様にも、丁寧に説明し、いやみのない「又、どうぞおこし下さいませ」で、好印象を与える。
●アプローチするタイミング
商品を手にとって見ている。
プライスタグや説明タグを見ている。
何度も同じ商品を見ている。
前見た商品のところに戻ってきた。
商品を見ていて顔をあげた。
内部や裏側も確認しようとした。
●早めにアプローチした方が良い場合
完全セルフのお店も、呼ばれたら直ぐに行き、親切丁寧に応対する。
捜し物をしているお客様
急ぎのお客様
何か聞きたそうなお客様
年輩の男性客
女性へのプレゼントを探している男性客
顔見知りのお客様
高齢のお客様
●話しのきっかけや、話題は
笑顔、ソフトな話し方、間接的な話題から少しずつ。
まずは一般的な「いらっしゃいませ」「いかがですか」「よろしかったらお試しください」から。
あるいは「今日は暑いですねぇ」や「寒いですねぇ」「蒸しますねぇ」のお天気ネタも無難で、年代問わず。
日頃から商品知識を豊富にしておき、お客様の反応や雰囲気で商品の話か雑談を進める。
主に女性は「流行」、男性は「機能」「うんちく」、高齢者は「安全・安心・健康」
他に「趣味」、「ニュース」、「旅行」など。学生なら「部活」、ミセスなら「学校」や「子供」なども。
雑談、商品説明、お試し(連想、比較検討)
《お客様の心理状態》
・あれと合うかな。
・試してみようかな。
・サイズは大丈夫かな。
・この人は信用できるかな。
・何か答えないと悪いかな。
・無理に買わされるといやだな。
・買ってもいいかな。BR>
・やっぱりこれが一番好き。
笑顔と雑談でリラックスしてもらう。
得意客は前回の商品を話題にする。
お客様によっては、褒めるポイントを探して、会話に入れる。
服、持ち物、髪型、顔色、姿勢、etc
好みや目的をさりげなく聞きだす。
ファッション重視か、機能重視か、あいまいか。
好きな服やスタイルを聞く。
他に持っている靴・バッグを聞く。
会社の雰囲気、出かける先・日数などを聞く。
言葉の少ないお客様
表情から気持ちを読み、声にして言葉を返してあげることを繰り返し、徐々に心を開いてもらう。
「知識と経験を総動員」して、アドバイスする。
あいづちをうつ、共感する、を繰り返す。
確認する時(金額、サイズ、色等)は必ず、お客様の目を見る。
ゆっくり丁寧に話す。
場合によって、話をしながら商品を絞り込んでいく。
場合によって、不人気商品もその長所を説明して薦めてみる。
なるべく触ってもらう。
鏡ごしに話すと圧迫感がない。
手入れ、保管、詳しい用途、コストパフォーマンス、特徴、利点。
クロージング(信頼、決定)
商品が決まり、包装して、精算し、お見送りするまでをクロージングと言う。好印象を与えて、次回に繋がるように心がける。
《お客様の心理状態》
・やっぱりこれでいいかも。
・後で後悔しないようにもう一度考えよう。
・他で安く売ってるとかないよな。
・この販売員の言ってることは信用できそうだな。
・こっちでいいかな。
・これでいいや。これにしよう。
・まあ良かったかな。ちょっとうれしい。
・早くしてね。
●決定
同じ質問が多くなる。細かい部分を気にするようになる。確認する言葉が多くなる。
急いで決断を迫らず、ゆっくり決めていただくのに付き合う気持ちで会話する。
2つでどちらか迷っている時は客観的な意見を言って決定を促してみる。
ずっと迷っている時は笑顔で決断を促してみる。
同行された方の意見を聞く、同意を求める。
「こちらがよろしいと思いますが、いかがでしょうか」
決まったら再度「ありがとうございます」
複数購入のお勧め
新社会人 ・・・ 基本ワードローブと組み合わせ方を説明
シニア・シルバーの海外旅行 ・・・ 生活習慣の違いを説明(シーン別、昼と夜)
関連商品のお勧め
ケア&メンテナンス用品
お渡しする商品をテキパキと点検し、包装する。急いでいる方には正確にすばやくすませる。
金銭授受は口頭で確認し、商品・包装袋・現金・カードいずれも両手で扱う。
手早く、正確に金銭授受。つり銭間違いを起さないように金額を口に出して言う。
「税込みで12800円になります」
「2万円お預かりいたします」
A.
「先に7,000円お返しいたします。お確かめください。」
「1,2、3、4、5、6、7。7千円です。」
「お後、200円のお返しです。」
「ありがとうございます。又、お越しくださいませ。」
B.
「7200円のお返しです。お確かめくださいませ。」
「ありがとうございました。又、どうぞ起こしくださいませ。」
お客様がつり銭やレシートをしまい終わってから、商品を渡す。
店が混んでいる時はお客様を間違わないよう、服や靴を覚えておく。
セール時は割引対象品と除外品を覚えておく。
お客様のカードが自店で扱っていない場合や、期限切れの場合
「大変、申し訳ございません。こちらのカードは取り扱っておりません(期限切れになっております)。
「他のカードか、現金でお願いできますでしょうか。」
会員サービスの説明をし、顧客カードへの記入をうながす。
お手入れやアフターサービスの説明を丁寧に行い、ここで専門店としての信頼性を高める。
説明パンフや決められたノベルティなども説明しながら、箱か袋に入れる
お急ぎでなければ詳しい説明、雑談をする。
次回入荷予定商品の説明
旅行、飲食、店、スポーツ、ファッション、趣味、家族等をお話して、コミュニケーションをさらに深める。
●お見送り
正対して、顔を見て、笑顔で心から挨拶。店を出るまでお見送り。
お店によって、又は常連客・高齢客・高額品客等は店の入口まで、駐車場まで同行してお見送り。
商品を両手で持ち、お見送りする場所でお渡しし、再度「今日はありがとうございました。又どうぞお越しくださいませ。」と最後の挨拶をする。
声のトレーニング
分りやすい声と聞き取りにくい声があります。発声のしかたで、接客もずいぶん印象が違います。
活舌の良い話し方は意思が伝わり易く、心地良いものです。
声そのものは遺伝や生まれつきもあるようで、お母さんゆずりの声帯が成功のポイントと言われた宇多田ヒカルさん、
レストランで注文すると客全員の視線を浴びるという井上陽水さん、声帯が某大学病院に永久保存されているという美空ひばりさんなど、歌手にはきれいな声、印象的な声の持ち主がいます。
北島三郎さんなど演歌系の方もみなはっきりした発音をしています。
声帯を変えることは出来ませんが、よりはっきりした発声は可能です。
接客する場合、商品知識、フィッティング知識、お客さまをサポートする気持ちなどが欠かせませんが、はっきりした発声はそれらのことをお客さまにより伝えやすくします。
発声を重視し練習もしているのは歌手の他に、舞台俳優、アナウンサー、アニメや吹き替えの声優さん達です。彼等の練習方法を参考にし、朝礼などで楽しみながら練習をしてみましょう。
歌手やアウウンサーになるわけではありませんから気軽にね。
通常は月1回か週1回、朝礼で全員練習。声が小さい、声がこもりがち、聞き取りにくい、など気になるスタッフがいる場合は、歌手やアナウンサーの状況など話した上で、1週間程マンツーマンでトレーニングしてみましょう。
思い立ったときやるだけでも,やらないよりいいみたいです。
●基本は腹式呼吸
腹筋を使って横隔膜を上下させてする呼吸です。健康にも良いと言われます。
息を吸う時に胸を動かさずにお腹を膨らませ、吐く時も胸を動かさずにお腹を引っ込めます。
新人アナウンサーはお腹に木の棒を当てられてこの腹式呼吸の練習をさせられるそうです。
無意識で出来るまでにはかなりの練習が必要ですが、腹式呼吸をしながら歌えると、カラオケでも半オクターブ位は高い声が出るようになり、声量が増し、音程も安定して歌がうまく聞こえます。
一般的な胸でする呼吸は、声を出す時に声帯の周囲の筋肉に緊張や負担を掛けているので、発声が窮屈なのです。
●発声練習
発声の基本は「口を大きく開けて話す」 です。口を少ししか開けないと故寺山修司さんのようにボソボソした感じになります。古びた居酒屋には似合いますが接客には当然不向きです。
口の開け閉めをきちんとすると言葉の切れが良くなって、はっきりした言葉が話せるようになります。発声練習では顔の筋肉がピクピクする位に口の動きを大きくしてみます。
接客の会話が主目的ですから練習も笑顔のまま行います。
1.「あ・い・う・え・お」
口を大きく開け、口やアゴの筋肉をほぐします。
親指以外の指4本を縦に口に入れ、つまり口を大きく開けたまま「あ・い・う・え・お」
2.「あ〜〜〜〜〜〜〜」
一番簡単で基本的な練習です。
口を大きく開け、怒鳴らない程度の大きな声でなるべく長く「あ〜〜〜」と声を出します。
3.「さ・し・す・せ・そ、た・ち・つ・て・と」
50音の中でも、「さしすせそ」と「たちつてと」の発音が近いと聞き取りにくくなります。
「わたし」「わたち」「わたし」「わたち」「わたし」「わたち」
4.「な・に・ぬ・ね・の、ら・り・る・れ・ろ」
「なにぬねの」は子音の「N」を意識して発音し、舌が上の前歯の裏側にはっきり付くようにします。
「Na」「Ni」「Nu」「Ne」「No」「Na」「Ni」「Nu」「Ne」「No」
「らりるれろ」も子音「L」の発音をしっかりします。舌を上の歯茎の裏側に付けて話します。
「La」「Li」「Lu」「Le」「Lo」「La」「Li」「Lu」「Le」「Lo」
※発音はLa、ローマ字表記はRa
5.「あ・え・い・う・え・お・あ・お」
少し有名なフレースですね。「あいうえあお」とか間違っちゃいがちですが...
左上から順に「あ・え・い・う・え・お・あ・お」と、音楽のスタッカートのようにはっきり区切りながら声を出します。
次に「あ〜え〜い〜う〜え〜お〜あ〜お〜」と1音で4〜5秒づつ伸ばしながら、声をだします。
あえいうえおあお かけきくけこかこ させしすせそさそ
たてちつてとたと なねにぬねのなの
はへひふへほはほ まめみむめもまも やえいゆえよやよ
られりるれろらろ わえいうえおわお
がげぎぐげごがご ざぜじずぜぞざぞ だでぢづでどだど
ばべびぶべぼばぼ パペピプペポパポ
●活舌(滑舌)練習に早口言葉
おなじみの早口言葉です。やはり口をしっかり開け、
「短いものは3回」 繰り返しましょう。
これだけを朝礼で実施し、一番上手な方に店長からミニプレゼント(コーヒー一杯とか)も良いのでは
・「坊主が屏風に上手に絵をかいた」
・「すももも桃も桃のうち」
・「隣の客は良く柿食う客だ」
・「生麦、生米、生卵」
・「赤巻紙、黄巻紙、青巻紙」
・「バスガス爆発」(高難度)
・「赤パジャマ、黄パジャマ、茶パジャマ」(高難度)
・「お綾や、母親にお謝りなさい」(高難度)
・「この竹垣に竹立て掛けたのは、竹立てたかったから立て掛けた」
・「蛙ぴょこぴょこみぴょこぴょこ、あわせてぴょこぴょこむぴょこぴょこ」(高難度)
・「武具馬具、武具馬具、三武具馬具、合わせて武具馬具、六武具馬具」(高難度)
●英語にも早口言葉があり、「Tongue Twister」と言います。
・「Peter Piper picked a peck of pickled peppers」
・「Shall she sell seashells on the seashore」
・「Shoes and socks shock Susan」
俳優やアナウンサーはこの他に、北原白秋の「あいうえおの歌」、歌舞伎の「ういろう売り」も練習に使います。前者は「あめんぼ赤いなあいうえお、浮藻に小蝦も泳いでる、〜」という子供向けの詩、
後者は「拙者親方と申すはお立会いの中にご存知の方もござりましょうが〜」という薬売りの長台詞です。
●声にも筋トレ
一見、無関係のようですが、発声には下半身と腹筋の強化が欠かせません。新人歌手の基礎訓練も毎朝の腹筋とジョギングからはじまります。少年隊の東山さんのように毎日腹筋300回とがんばる方もいます。
・腹筋
・ジョギング。ついでに腕立て伏せやストレッチングも行います。
簡単・英会話
日本語の上手な外人さんが増えましたが、アジアの方でも英語で意思疎通することがあります。
まあ、誰でも学校で6年以上は勉強したんだし、世界で一番の共通語ですから。
●まずは日本語で、にこやかに挨拶し、日本語で大丈夫か確認する。
●英語も、たいていは簡単な範囲で済む。なるべく各自が対応する。
●難しそうな場合は会話の一番得意なスタッフと交代。
●困ったら筆談。カタログを見せる。辞書を渡す。
●電子辞書が1台あると便利に使える。少し練習しておく。
●原則
・お迎え時の「笑顔での挨拶」は万国共通。
・歓迎以外の無言のニヤニヤや、ごまかし笑いはしない。
・目を見て話す。失礼ではなく、ほとんどの国でこれが普通。
・かたことでも、はっきり話す。身振り手振りも加える。
・聞き取れなかったら、必ず、聞き返す。(何度でも可)
「I beg your pardon?」
「Pardon me?」
「Would you please speak more slowly?」
・長く、黙り込まない。
・人を指差さない。失礼な表現になる。
●会話例
「Welcome to our store (restaurante) 」
「Good afternoon (evening),Sir (Miss, Ma'am) 」
いらっしゃいませ。
「May I help you?」
「Hello. Can I help you?」
何かお手伝いしましょうか。
「No thank you」
「I'm just looking」
ちょっと見ているだけですから。
「Please take your time」
どうぞごゆっくりご覧ください。
「Would you like try it one?」
試してみませんか。
「May I try this one?」
これを試して良いですか。
「It's 100(one houndred)% cashmere」
100%カシミアです。
「This is high-quality and reasonably priced」
高品質で、価格もお手ごろです。
「It's on the second floor」
2階にございます。
「This way, please」
こちらにどうぞ。
「Here's a fitting room」
試着室はこちらです。
「Are you ready to order?」
ご注文はお決まりですか。
「To eat here or to take out?」
店内でお召しあがりますか。お持ち帰りですか?
「Whoich size would you like?」
どの大きさになさいますか?
「Just a moument please」
少しお待ちください。
「I'll go and check the stock」
在庫を調べてまいります。
「Thank you very much for waiting」
大変お待たせいたしました。
「How does it fit?」
いかがですか。
「Little,too big」
少し大きいです。
「It's perfectI」
ちょど良いです。
「You look so nice in it」
大変良くお似合いです。
「Can I think about it」
ちょっと考えさせて下さい。
「I'll take this one」
これにします。
「Certainly, Sir(Miss, Ma'am)」
かしこまりました。
「I'm sorry. but we can't give you any discount」
申し訳ありませんが、割引はできかねます。
「That will be 9,800yen」「It's 9,800yen」
9800円になります。
「Cash or Credit Card?」
現金ですか、カードですか。
「Would you please sign here」
こちらにサインをお願いします。
「Out of 10,000yen. and here's 200yen in change」
1万円お預かりいたします。200円のお返しです。
「Thank you very much」
ありがとうございました。
「Please come again」
また、お越しくださいませ。
●表示
非常口 Emergency Exit
禁煙 No smoking
トイレ Lavatory. Rest room. Tilet
新製品 New product
処分品 Clearance Goods
特別品 Specialty Goods
限定品 Limited Goods
特価 Bargain(Special) Price
近隣アジアのお客様
外国人入国者のうちアジア人が64%で、その中心は東アジアの韓国・台湾・中国・香港で、買い物も増加中
平成14年の日本への外国人入国者数は577万人。うち、在日韓国人などを除いた「新規入国者数」は465万人。後者を国別に見ると
1位 韓国 25.5% 5位 香港(中・英) 5.1%
2位 台湾 15.8% 6位 イギリス 3.9%
3位 アメリカ 13.1% 7位 フィリピン 3.4%
4位 中国 9.1% 8位 オーストラリア 2.9%
顔かたちは日本人とも良く似ているが、歴史や風土により、各国それぞれで微妙な違いがある。
●韓国のお客様。テキパキと。年配客に敬意
人口 4800万人
1人当GDP 10,000ドル
韓国語のあいさつ
こんにちは アンニョン ハシムニカ(軽いのはアンニョンハセヨ。くだけては、アンニョン)
ありがとう カムサハムニダ
どういたしまして チョンマネヨ
さようなら アンニョンヒ カセヨ(くだけては、アンニョン。残る人に、アンニョン ケセヨ)
韓流ブームで韓国への女性旅行者激増中。あちらのエステも人気
サッカーW杯共催と日本文化開放で日本に対して肯定的なイメージを持つ韓国人が増え、若者を中心に日本語を習う韓国人も100万人に達した
日本は清潔で、日本人は秩序正しく親切であると認識している
声が大きく主張や意見をはっきり述べる。身体的な接触度合いも高い
年配の韓国人は日本語を理解。儒教の敬老精神が身についているので、敬語が必須
待たすのは×。できるだけ迅速な対応を
●台湾のお客様。にこやかに
人口 2200万人
1人当GDP 13,000ドル
60才以上の多くは日本語も通じる
公共の場や学校教育は「國語(グオユー)」、つまり台湾語。中国大陸の標準中国語(プートンフア)と似るが、
文字は日本の旧漢字に似た「繁体字」を使用し、中国の簡略文字「簡体字」とは異なる。日常の挨拶も違うので中国語パンフ作成に台湾の方のアドバイスが必要。
こんにちは リーホウ(イ尓好)
ありがとう トゥシャ(多謝)
さようなら ツァイホエ(再会)
日本は治安が良く、交通が便利で衛生的。文化も似ており、漢字でだいたい意味が分かるとされ、親近感が強い。
日本のイメージは極めて良い。芸能人の人気も高く、「哈日族(日本大好き族)」も生まれた。
●中国のお客様。ごく丁寧に
人口 12億8千万人
1人当GDP 900ドル
たいてい中国語しか話さない。北京語を基礎とした標準中国語(普通語・プートンファ)の他に、上海中心の上海語、広東州と香港の広東語、福建省と台湾で使用されている福建語(台湾語)等がある。
文字は「簡体字」。「簡体字」の資料・情報・案内板など必要。
標準中国語で
こんにちは ニーハオ(イ尓好)
ありがとう シェシェ(謝謝) ありがとうございます シェシェニン
さようなら ツァイチェン(再見)
上海語で
こんにちは ノンホオ
ありがとう シャヤ
さようなら チェァウェ
日本に旅行するのはお金持ちで、情報が多く、教養の高い人が多い。1人100万円位の買物をする人もいる。
日本軍の残虐さを長年教えられている。誤解を生じないように注意。
日本製品(電化製品、自動車、化粧品など)に高級イメージを持っている。小型家電やデジカメ、化粧品、ファッション品に強い関心。
声は大きい。団体行動や行列は苦手。
日本人の中国大陸旅行者がそう扱われるように、特別扱いされるのが好き。「熱烈歓迎」の横断幕や簡単なお土産も○。
●香港のお客様。最新のものを
人口 680万人
1人当GDP 25,000ドル
公用語は「中国語と英語」だが、中国公用の北京語は通じ難く、ほぼ広東語。英語はビジネス用で若者の英語力は低下。
広東語で
こんにちは ネィホゥ(イ尓好)
大丈夫です モゥマンタイ(無問題)
ありがとう トゥチェ(多謝) おかげさまで。
ありがとう ンコィサイ(唔該晒) 何か貰っての。ちょと失礼。
さようなら チョィキィン(再見)
文字も台湾と同じ旧字体の「繁体字」。大陸の「簡体字」を分かる人は少ない。
日本の地名は中国語読みされ、東京は広東語で「トンキン」、北海道は「パッホイトウ」と発音。カタカナ・英語の日本名は香港の旅行会社やマスコミが訳し、東京ディズニーランドは東京全新迪士尼樂園、USJは環球影城、ハウステンボスは豪斯登堡など。
日本の魅力は、トレンド(ファッション・都市)、自然(温泉・雪・四季)、食物(新鮮な海産物、繊細な果物・菓子)。回転寿司・ラーメン・お好み焼き・さしみなども人気。
雑誌や新聞のカラー芸能欄に日本の人気タレント情報、ファッション、化粧品、食物を常時掲載。
香港は流行の変化が速く、「新しいもの」が常に求められる。
日本旅行は大人気。リピーター率も77%と極めて高い。
マナーや道徳心にはやや欠ける面もあり。
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